【ラップ分析進化論】JRAの「速度表示」はこう使う|時速60kmで何が起きているか

【ラップ分析進化論】JRAの「速度表示」はこう使う|時速60kmで何が起きているか



今回は競馬理論の日ということで、私の予想の基本である「ラップ分析」について、いつもより少し具体的に深掘りしてお話ししていきます。
世の中の予想家のほとんどは「ハイペースで前が潰れた」「スローで前が有利だった」と感覚で語りますが、私は昔からスピード指数などを研究し、できるだけ感覚を数値化して「感覚から科学へ」持っていきたいとずっと考えてきました。

【競走馬のハイブリッドカーモデルと「魔の2ハロン目」】
たどり着いた考え方が「エネルギー」です。競走馬の走りは、「有酸素エネルギー(電気)」と「無酸素エネルギー(ガソリン)」を使うハイブリッドカーに例えると分かりやすいです。
1ハロン15秒程度の低速なら有酸素エンジンでいつまでも走れますが、それ以上スピードを出すと、量の限られた無酸素エネルギー(合計約40秒分)を消費し、タンクが空になればガス欠(バテる)を起こします。
ここで重要になるのが「魔の2ハロン目」です。スタートしてから有酸素エンジンが立ち上がるまでには約40秒のタイムラグがあります。最初の10秒(1ハロン目)は筋肉に蓄えられたエネルギーで走れますが、レースで最もスピードが出る「2ハロン目(10秒台前半など)」は、まだ有酸素エンジンが立ち上がっていない状態で無酸素ガソリンを大量に使うため、非常に過酷なのです。
良いポジションを取れるというメリットはありますが、ディープインパクトのような後方待機策は、この過酷な前半で無理をせずガソリンを温存できるため、生物学的に見れば正解の走り方だと言えます。

【無酸素比率の非線形カーブ:ペースと消費量の関係】
ペースによって無酸素エンジンをどれくらい使っているのか(無酸素比率)の目安です。
13秒より遅い:ほとんど有酸素エンジンで走っており、ガソリンはあまり消費しない。12.5秒:約13%の無酸素エネルギーを消費している。11.1秒:約28%の無酸素エネルギーを消費している。つまり、12.5秒で走っている時の「倍以上」のガソリンを使っていることになります。
このように、トップスピードを出している時はものすごい勢いでガソリンを消費しているというイメージを持つことが大切です。

【BSI(基礎スピード)と中盤負荷の考え方】
これらの考えから、私は「前半3ハロンタイム」と「後半3ハロンタイム」を足したものを「BSI(基礎スピード)」として指標にしています。
前半に無理をすれば後半が遅くなり、前半に楽をすれば後半が速くなるため、足し合わせることでその馬の基礎スピードが見えてきます。さらに、中盤のペースを分析して「中盤負荷」という数値を計算し、参考数値として見ています。

【究極の理想形:イクイノックスの天皇賞(秋)と過酷なレースの代償】
この理論の行き着く先、理想の競走馬の走りがイクイノックスの天皇賞(秋)です。1分55秒2という驚異のレコードタイムでしたが、個別ラップを見るとさらに異常さが分かります。
中盤(3ハロン)がなんと34秒1と、後半よりも速いペースで走っているのに、後半も11秒台(11.5秒→11.1秒→11.7秒)とまったく垂れずに加速しています。前に行って良いポジションを取り、中盤も速く、後半も垂れないという「完全無欠の走り」でした。
ただ、このレースはあまりにも過酷すぎました。イクイノックスより前にいてギリギリまで粘ったガイアフォースや、後ろから追い込んだジャスティンパレスなど、このハイペースについていった上位馬たちは、そのダメージが残り、その後のレースでしばらく調子を崩してしまいました。それだけ過酷でレベルの高いレースだったということです。

【AI分析とトラッキングシステムの活用法】
現在は、これらの個別ラップを自分で打ち込むのではなく、AI(Claude Opusなど)に読み込ませて、中盤負荷やエンジン特性を計算させています。
また、最近JRAの映像で表示される「トラッキングシステム(速度と位置情報)」が非常に参考になります。
時速57.6km = 1ハロン約12.5秒時速60.0km = 1ハロン約12.0秒時速61.2km = 1ハロン約11.8秒
時速60kmを超えてくるとペースが速く、マックスの時速65kmなどが出ている時は11.1秒ほどの猛烈なスピードです。この「速度表示」を見ながら、「今は11秒台だから倍のガソリンを使っているな」とリアルタイムでイメージできるようになると、レースの見方が変わり、非常に面白くなると思います。

【馬場指数との統合と馬券への向き合い方】
ラップ分析だけでなく、「馬場指数」や「馬場状態」と照らし合わせて評価することも重要です。
旧来のイメージや主観の予想から脱却し、無酸素比率やBSIを数値化することで、「頭一つ二つ抜けている馬」を自信を持って軸に選ぶことができます。
オッズが2.5倍〜3倍でも、7〜8割の自信があれば、基本2倍のカジノに比べても競馬の方が有利なギャンブルになり得ます。秋に向けてしっかり調子を上げて、そういった勝負をしていきたいと思っています。

【まとめ】
今回はいつもより詳しくラップの話をさせていただきました。特に「ハロンタイムと速度の関係性」、そして「どれくらい無酸素エンジンを消費しているか」のイメージを頭に叩き込んでおくと、レースを見るのがもっと楽しくなるはずです。プロの予想家でもここまで語っている人は少ないので、ぜひ参考にしてみてください。

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